遺言書より前にやるべきこと

相続対策といえば「とりあえず遺言書を作る」という方が多いのですが、
私はその前にやってほしいことがあります。
それは、「なぜその財産をその人に遺したいのか?」と向き合うことです。

たとえば——
「親のそばにいてくれた長女に、ねぎらいの気持ちを込めたい」
「自分の背中を見て育った次男に、想いも引き継いでほしい」
そんな気持ちは、金額や配分だけでは伝わりきりません。

遺言書には「付言事項」という自由に想いを伝えられる欄があります。
ただ、そこでその場しのぎのメッセージを書いても、遺された人の心には届かないことが多いのです。
“なぜ”としっかり向き合うプロセスがあってこそ、言葉に重みが宿り、伝わる想いになります。

逆に、“なぜ”が明確な遺言は、たとえ分け方に差があっても、
「これは自分のことをちゃんと考えてくれたんだ」と受け取る人の納得につながります。

だからこそ私は、
「まずは“なぜ”と向き合うことから始めませんか?」
と、いつもご相談者にお伝えしています。

この投稿は、お盆の帰省を前に、
“家族との想いを見つめ直すきっかけ”として毎日お届けしています。
明日も「なぜと向き合う相続」のヒントをお伝えします。