【2026年度税制改正の方向性】投資用不動産の相続税評価が大きく変わる見込み

2025年11月27日付・日本経済新聞朝刊にて、投資用不動産の相続税評価を巡る重要な動きが報じられました。
政府・与党は、投資用不動産を利用した過度な節税策に歯止めをかけるため、相続税評価のルールを見直す方針です。


■政府の示した改正案のポイント

▼① 改正案は、自民党税制調査会(11月26日開催)で示された

政府は26日に開かれた自民党税制調査会で不動産評価の見直し案を提示し、議論が始まりました。

▼② 投資用不動産について「購入から5年以内の相続」を軸に新ルールを適用

相続直前に購入したマンション・オフィスビルなどについて、
従来の路線価ベースではなく、購入価格ベースで相続税評価を算出する方向で調整が進んでいます。

▼③ 年内にまとめる「2026年度税制改正大綱」への反映を目指す

早ければ来年以降の相続から適用される可能性があります。


■新しい評価方法(政府案)

▼④ 購入価格ベースで評価し、過度な評価圧縮を防止

現行の相続税評価(路線価)は、取引価格より低く出る傾向があり、これを利用した“大幅な相続税の圧縮”が問題視されてきました。

新ルールでは、
購入価格(取得時の価格)をベースに、地価の動向を調整し、さらに約2割を減額する方式
が採用される見通しです。

現行より評価額は上がり、相続税負担も増える方向

▼⑤ 不動産小口化商品も「取引事例ベース」に変更

投資家が小口で保有する賃貸マンション・オフィスビルなどの「不動産小口化商品」についても、
購入時期に関わらず、市場取引事例などを基準に相続税評価する方式へ変更される見込みです。


■相続専門税理士としての私見

●「評価は上がるが、依然として現金よりは有利」

現行の路線価評価よりは高くなるものの、
現金と比べれば、投資用不動産は相続税上のメリットが依然として残ると考えられます。
ただし、“節税目的だけ”での購入は極めて危険です。

●相続でも投資でも、最も大切なのは「WHY(なぜ)」

税制が変わろうと変わるまいと、重要なのは
「そもそも、なぜその投資をするのか?」
という目的の明確化です。

「節税のための投資」は本来の投資とは言えず、
節税はあくまで**“結果としてそうなるだけ”**です。

●出口まで見据えた投資戦略を

相続税だけにとらわれず、
・売却タイミング
・キャッシュフロー
・保有コスト
・家族の状況
といった出口までを含めた総合判断が不可欠です。


■ご相談はお気軽に

相続税専門として、1000件以上の相続に携わってきた経験から、「資産の評価」「不動産の扱い」「投資との向き合い方」まで総合的にアドバイスいたします。

早めに検討することで、取れる選択肢は大きく変わります。

ご不明点などあれば、お気軽にお問い合わせください。